メモリー(物忘れ)外来
1. 認知症とは
 世界一の長寿国である日本は、平均寿命が80歳を超え、生き生きとした老後を過ごされている高齢者も増えてきています。一方で、80歳を超える高齢者の4人に1人は物忘れなどの認知障害を伴っていると言われています。認知症は、脳の働きが様々な理由で悪くなり、日常生活で支障が出るような状態をいいます。大切なのは、正常な加齢現象と病気としての認知症を見分けることです。しかし、それを見分けるには専門的な診察が必要となります。もし認知症だとしたら、治療は早い段階から始めることが大切です。家族からの温かい見守り、早い段階からの薬物服用、適切なリハビリテーションなどにより進行を遅らせることができます。
 認知症の初期症状は、約束事を忘れるようになった、道に迷うようになった、着替えがうまくできなくなった、それまで出来ていた事で失敗することが多くなった、物をなくすようになったなどです。そのような症状はご自分で気がつくこともあれば、家族が気付くこともあります。気になることがありましたら、早い段階で受診することをお勧めします。

2. メモリー(物忘れ)外来とは
 メモリー(物忘れ)外来では、最初に、症状が認知症によるものかどうかを診断します。もし認知症だとしたら、その原因を調査します。まれですが、外科手術によって回復する認知症もあります。また、神経内科的疾患の一部として認知症が表に出てくることもあります。必要があれば、それらの専門科をご紹介します。もしそうでなければ、通常の認知症として治療を導入します。認知症は家族からの温かい見守り、薬物服用、適切なリハビリテーションなどにより進行を遅らせることができます。大切なのはなるべく早くから治療を開始することです。それらを適切にアドバイスし、さらに社会資源を活用して、身近な人たちだけでなく社会全体で患者様を支えていく方法についてもご案内いたします。治療がひと段落ついた時点で、もしかかりつけのお医者様がいれば、しばらくは、その先生に医療情報を提供し治療を引き継いでいただくこともあります。

3. メモリー(物忘れ)外来における診断・治療の流れ
 外来は予約制(毎週木曜日午後)となっております。電話でご都合の良い日時をご予約ください。予約後、外来受診してからは、まず家族・周囲の方々にご本人の様子についての予備調査票に記入していただきます。次にご本人を交えての診察で状況を詳細にうかがいます。次に、ご本人に対して、神経心理学的な検査を行います。その後、必要があれば血液検査、形態的画像診断−頭部CTスキャン、MRI、機能画像診断−脳血流SPECTなどの検査を行います。
 これらの画像検査により、大変まれではありますが脳外科手術が必要な病気が見つかることがあります。その代表的なものとして、慢性硬膜下血腫(古い血が徐々に頭の中にたまる病気)、水頭症(頭の中に髄液が余分にたまってくる病気)、脳虚血性疾患(いろいろな原因で脳に血液が十分にいきわたらない病気)などがあります。このような病態が疑わるときは速やかに脳神経外科に紹介します。もし手術が可能な場合は、それによって症状が軽快することもありますので、手術を受けるかどうかを脳神経外科の先生とよく相談なさってください。また、神経学的な異常があるときは、神経内科にも紹介いたします。神経内科的な治療によって体の機能が回復すれば、ご本人にも自信となり、生活の質も向上することが期待できます。内科的な疾患、貧血、糖尿病、肝機能障害、腎機能障害などが認知症の症状を悪化させる場合もありますので、それらの障害が見つかった場合は専門の内科に紹介します。
 通常のアルツハイマー型認知症の場合、治療にはアリセプトという薬を使います。最初は、2週間だけ服薬して様子を見ていただき、副作用がなければ2週間後に増量します。以後は一月に一度のペースで受診していただくことになります。認知症には、物盗られ妄想や、不眠、抑うつ、被害妄想、幻視、幻聴などの周辺症状を伴うことがあります。それらの周辺症状は薬物療法によって改善することが期待できます。
 認知症患者様の介護には介護保険を使うことが可能です。それにより、様々な在宅支援を受けることができます。また、重症の場合は施設への入居などを考える必要があります。このような社会資源の利用は、早くから準備をすることが大切です。介護には経済的にも肉体的にも大きな負担がかかりますので、特定の誰かに負担が集中することは決していいことではありません。ご家族で話し合うことが大変重要ですが、その際にもアドバイスを差し上げます。

メモリー外来は木曜日午前 診察は予約制になっております。
診察予約はお電話でお取りできます。 電話 0557-81-9171(代表)


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