お知らせ

脳脊髄液減少症の検査・ 治療入院の手引き

交通事故によるむち打ち症後遺症をはじめとして脳脊髄液減少症で苦しんでおられる患者さまはおびただしい数に上ります。この病気はまだ一般化しておらず、不明な点も数多くあります。検査・治療を行っている病院は徐々に増えているとはいえまだまだ数は限られています。
当院での診療を希望する患者さまは増加の一方です。
当院は全病床数が200床程度と少なく、この病気に割り当てられた病床は8床です。効率よく入院治療を行わなければ多くの患者さまの治療を行うことが不可能になります。
常に4ヶ月先まで入院予定が決まっています。
できるかぎり不自由なく苦痛なく入院生活を送っていただけるようスタッフ一同努力いたしますが、入院期間は計画どおりにしたいのでよろしくご協力お願いいたします。

原則として入院期間の延長はご遠慮願います。
退院後しばらく安静・休養を要する場合はお近くのホテルでご静養いただくことをお勧めいたします。
その場合、外来通院での点滴治療は可能です。
入院生活のさまざまな点について説明いたします。
看護上の点については看護師から別途説明があります。
費用の件や診断書等については事務にご相談ください。

【入院生活の流れ】
1.RI脳槽シンチグラム検査入院(ブラッドパッチ治療を含む)
1日目 午後入院 オリエンテーション(看護師) 血液検査 胸部X線検査
心電図 サーモグラフィー MRI(外来で施行済みの場合は省略)
2日目 朝 RI検査(放射線科RI室)、同時にCTミエログラフィーを行います。
土曜日入院の場合は3日目になります。
3日目 朝24時間目のRI撮像 検査結果説明
適応があればブラッドパッチ治療(火は午前 木、土は午後)
検査のみの場合は退院
4日目 点滴・安静
5日目 点滴後退院
2.ブラッドパッチ治療入院
1日目 午後入院 オリエンテーション(看護師) 血液検査
胸部X線検査* 心電図*(*2回目以降の入院の場合は省略)      
MRI(外来で施行済みの場合は省略)
2日目 午前 ブラッドパッチ治療  点滴・安静
3日目 点滴・安静治療
4日目 点滴後退院

RI検査、ブラッドパッチ治療については同意書の説明文を参照してください。
  RI検査について注意事項
RI検査は現在のところ脳脊髄液の漏れを調べる検査としては最も診断価値のある検査といえます。
25ゲージのとても細い針を用いて腰椎穿刺を行うので針穴から漏れる髄液の量は無視できる程度ですが、もともと髄液が極度に減少している場合は検査で頭痛等の症状が強くなる可能性は否定できません。ただし漏れている場合はブラッドパッチを行えば症状の悪化は防げます。
平成24年からはアイソトープと一緒にCTスキャンの造影剤(オムニパーク240)を注入しCTミエログラフィーを行っています。2つの検査を組み合わせることで髄液漏出の診断がより的確になります。

RI検査は開始3時間までは横になっていてください。
特に1時間までは可能な限り排尿を控えてください。
頭を腰より下に下げてしまうと検査結果に影響しますので頭を下げないよう注意してください。
3時間後は起き上がったり歩行したりできるだけ普通の生活をしてください。
座位や立位で髄液の漏れがはっきりする場合があるからです。
 
  ブラッドパッチ治療について注意事項
ブラッドパッチ治療は現在のところ脳脊髄液の漏れを減少させる最も効果的な治療です。
脊椎硬膜外腔に自分の血液を注入して硬膜外腔を数日間陽圧に保つことと血液が固まって糊のような働きをすることで髄液の漏れが止まると考えられています。

一度固まった血液が動いたりすることで剥がれることはありません。
固まった血液は1週間以内に吸収されます。これは血液の炎症細胞(白血球、単球など)による作用で吸収期には痛みや微熱を伴うことがあります。

ブラッドパッチ後は2−3日できるだけ横になっていることが大切です。
起き上がると重力が腰にかかり髄液が漏れやすくなるからです。

食事や洗面、トイレなど短時間であれば起き上がっても心配ありません。ブラッドパッチ後1−2日症状が緩和されることがありますがこれは髄液が頭蓋内に押し上げられるため頭蓋内の髄液量・圧が一時的に増加するためです。
その後血液が吸収されると頭蓋内に押し上げられた髄液が脊髄腔に下がるため症状は元に戻りますが、髄液の漏れが止まり徐々に髄液が増加すると症状が改善します。髄液の増加は大変個人差があるので症状改善の時期は差があります。

点滴は慢性的な脱水状態の改善のために行います。
脳脊髄液減少症では食欲低下、胃腸障害、微熱などのため慢性的に水分不足になっていることが多くみられます。脱水状態では十分な脳脊髄液の産生が得られません。点滴は3日間行いますがその後はこまめに水分を摂るようにしてください。口から十分な水分(夏は2−3リットル、その他の季節は2リットルが目安です)が摂れれば点滴は必要ありません。
薬局や当院の売店で入手できるOS−1という飲料水は点滴とほぼ同じ成分で吸収がよく点滴治療に匹敵できる効果が期待できます。脳脊髄液を増やすには十分な睡眠と水分摂取が必須で、ストレスを避けることや適度の運動(散歩、サイクリング、スイミング)も効果的です。

ブラッドパッチ後に頭痛、腰痛、頚部痛、めまい、吐き気などの症状が一過性に強くなることがありますが炎症反応ないし自律神経障害が原因と思われます。消炎鎮痛剤や安定剤などを服用して安静を保つことにより症状が改善します。退院後は2週間程度遠出を避け自宅安静を行うことをお勧めいたします。2週間過ぎたら徐々に通常の生活に戻してよろしいと思います。

ブラッドパッチ治療はできるだけ少ない回数が望まれます。できれば1回で症状の改善が得られるのがベストです。回数が増えると痛みなどの副作用は増加します。症状の改善には6−12ヶ月を要するのが通例で2年くらいの経過でゆっくり改善します。3−4ヶ月毎に外来通院でMRI検査や問診を行い2回目以降のブラッドパッチ治療を行うかどうかを検討します。

RI検査で明らかな脳脊髄液の漏れが確認できない場合生理食塩水硬膜外注入(生食パッチ)を行うことがあります。効果が認められる場合は後日ブラッドパッチを行うことも検討いたします。 眼科、耳鼻科など他科を受診希望の場合は外来で申し込むか入院時に申し込んでください。
 

平成26年10月28日

国際医療福祉大学熱海病院
脳神経外科  篠永正道

 


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